心不全は近年増加の傾向にあり、その原因は食生活の欧米化や本格的な高齢化社会を迎えたことなどが挙げられます。心不全は、心臓の収縮機能を高める強心剤や血管を広げる血管拡張剤などの薬剤を使う薬物治療、また人工心臓移植などの外科的治療が主流でした。これに対して1994年、薬物治療と外科的治療の中間に位置する『両室ページング』というペースメーカを応用した新しい治療法が欧米の学会で紹介されました。この治療法は心臓再同期療法(Cardiac
Resynchronization Therapy:以下CRT)と呼ばれ、これまでに数々の大規模試験でその有効性が認められ、欧米諸国を中心に心不全の一般的な治療法として広く利用されています。日本では2004年に保険が適用となり、重度の心不全患者さんのQOL(生活の質)を向上する画期的な治療法として普及が進んでいます。
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CRT-Dの「D」は、Defibrillatorの「D」です。これは、致死性不整脈を治療する植込み型除細動器(Implantable Cardioverter
Defibrillator:以下ICD)を示します。つまり、CRT-Dは、CRTとICDの両方の機能を併せもつ医療機器で、CRTの機能により心不全を改善しながら、同時にICDの機能によって致死性不整脈による突然死を防ぎます。
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CRT-D治療の特徴は、QOL(生活の質)の改善です。歩行や階段の上り下りなど、ごく当たり前の日常生活を送ることが困難だった重症の心不全患者さんが、この治療によって日常生活を取り戻し、元気な生活されています。
心不全による症状は患者さんによってさまざまです。CRT-Dの治療も全ての心不全患者さんが受けられる治療ではなく、いくつかの条件を満たす患者さんに限られています。また、この治療法は心不全を根冶するものではなく、薬物治療と並行して実施される場合がほとんどです。
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CRT-Dは心室細動や心室頻拍が起こった場合、あらかじめ設定された治療を行います。まずペースメーカーのような電気刺激治療を行い、それで発作が止まらなければ弱いショックによる治療を行い、それでも止まらなければ、より強いエネルギーに切り替えて電気ショック治療を行います。治療には、次に示す3種類があります。
●抗頻拍ペーシング
心室頻脈が起こった場合には、頻脈より少し速いタイミングでペースメーカのような電気刺激を行うのが抗頻拍ペーシングです。ほとんどの場合、この治療中に痛みなどを感じることはありません。
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●カルディオバージョン
カルディオバージョンは、安全なタイミングで電気ショックを与えることで発作を止める治療です。通常は、最初に弱い電気ショックで治療を行い、それでも止まらないときにもう少し強いエネルギーの治療を行います。この治療のときには「不意に胸を叩かれるような感じ」で通常軽度の不快感があります。
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●除細動
植込み型除細動器が心室細動を感知したときには、前項のカルディオバージョンより、さらに強いエネルギーの電気ショックを出して、細動を止めます。この治療のときには「胸を蹴られた感じ」でびっくりされる患者さんもいらっしゃいますが、すぐに終わります。(心室細動が起こり、すぐに意識を失ってしまうような患者さんでは治療が行われたことに気付かない場合もあります)
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●除脈ページング(ペースメーカ機能)
このほか、脈が遅くなる除脈になった場合には、ペースメーカと同じようにページングによって必要な心拍数を維持します。特に、頻脈発作のある10人に1人は除脈も合併するともいわれています。このような人は除脈直後に心臓が数秒間止まってしまうことがあり、この機能が有効に使われます。
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| 資料提供 日本メドトロニック(株) |