ご挨拶
日本ICDの会がNPO法人として正式発足するに当たり、
一言ご挨拶申し上げます。
京都大学名誉教授、医仁会武田総合病院顧問 河合 忠一

 私は1964年(昭和39年)米国留学から帰国致しまして、翌年意識消失発作を繰り返す患者さんを診察する機会があり、1966年(昭和41年)に植え込み式ペースメーカーを装着致しました。正確な資料はありませんが、我が国で最初の例ではなかったか、と思います。この時以来、ペースメーカーとのお付き合いが始まり、日本心臓ペースメーカー友の会の発展をも関心をもって見守って参りました。その後、植え込み式ペースメーカーの恩恵に与る患者さんの数が増えるに従い、ペースメーカー友の会も数千名の会員を擁する全国組織に発展し、多くの患者さんが互いの知識、情報、経験を共有しあっておられるのは、ご同慶の至りと存じております。しかし、ペースメーカーの方は、上に述べた1960年代には、成る程初期のことでもあり、医師、患者、製造業者とも手探りの部分も多く、友の会のような組織の役割は極めて大きかったのですが、40年以上を経た今では、電磁波のペースメーカーに及ぼす影響など、まだ解決されなければならない重要な問題が残っているとはいえ、多くの問題は解決され、医師も比較的に安易な気持ちで植え込み式ペースメーカーの装着を患者さんに勧めることが出来るようになりました。

 ところが、ICDの方はそうではありません。丁度1960年代のペースメーカーと類似の、否それ以上に多くの問題を抱えています。しかもその多くは命と直接関係するので、ペースメーカー以上に深刻です。勿論ICDの治療効果、予防効果は絶倫で、これを証明する科学的根拠は枚挙に暇がありません。しかし実際ICDを装着した患者さんの立場になって見ると、幾つもの切実な問題が発生し、その解決に医師、製造業者それに何にも増して患者さん自身の経験に基づいた知識の集積、交換が必要不可欠な現状を痛感させられます。まさしくここに日本ICDの会が発足した原点があると存じます。

 日本ICDの会がこの目的に沿って発展し、患者さんの疑問を解決して、不安を取り除く大きな力になるよう心から念願して、ご挨拶と致します。